ふたつの伝統が、重なる場所。
金沢は、金箔の産地であると同時に、ガラス工芸の作り手が集まる土地でもあります。けれど、同じ街に暮らしていても、素材が違えば工房も違う。金箔とガラスが出会う機会は、実はそう多くありません。

この金箔グラスは、そんな「近くて遠い」ふたつの工芸が、ひとつの器の中で重なった作品です。金沢で活動するガラス作家が吹き上げた手吹きガラスに、土井下工芸の職人が金箔を施す。成形から箔貼りまで、すべての工程が金沢の手仕事で完結しています。
ゴールドとクリア、2 つの個性。
ラインナップは 2 種類。全面に金箔を纏った「ゴールド」は、グラスそのものが黄金色に輝きます。外側から見ると不透明に見えますが、光にかざすと金箔を通して柔らかな光が透ける。飲み物を注ぐと、液面が金色に染まり、口に運ぶたびに金沢の贅を味わえます。
一方の「クリア」は、透明なガラスの中に金箔の粒を散りばめたもの。ガラスの表面に張り付いた金箔の断片が、光を受けてきらきらと瞬きます。手に持って傾けると、光の粒が動くように見える。同じグラスでも、朝のコーヒーと夜の日本酒では、まるで違う表情を見せてくれます。
手吹きガラスと、金箔の相性。
手吹きガラスの魅力は、ひとつひとつ微妙に異なるフォルムと、表面のわずかな揺らぎにあります。機械で成形された均一なグラスとは違い、口縁のカーブや厚みが一点ごとに異なる。
その不均一さが、金箔と出会うことで予想外の美しさを生みます。
金箔は厚みが均一ではないため、ガラスの凹凸に沿って自然な濃淡が生まれます。ガラスの厚い部分では金色が深く、薄い部分では光が透ける。作り手がすべてを制御しているわけではなく、素材同士の偶然の出会いが、器の個性になっています。これは手仕事でしか生まれない表情です。
日本酒を注ぐ、という体験。
このグラスの真価が最もよく現れるのは、冷えた日本酒を注いだ瞬間かもしれません。透明な液体がゴールドのグラスに満ちると、酒そのものが黄金色の光を帯びます。盃を傾けるたびに、光が揺れる。飲み終えたグラスの底に残る金箔の模様を眺めるのもまた一興です。
もちろん、日本酒に限った器ではありません。ビール、ウイスキー、冷茶、あるいは炭酸水。
何を注いでも、飲み物の色と金箔の光が互いを引き立て合います。日常の一杯を、少しだけ特別な時間に変えてくれる。そういう器です。
お取り扱いについて。
手洗いを推奨しています。柔らかいスポンジと中性洗剤で優しく洗ってください。食器洗浄機、電子レンジのご使用はお避けください。金箔部分を硬いもので擦ると剥がれる原因になります。丁寧にお使いいただければ、金箔の輝きは長くお楽しみいただけます。
ひとつとして同じものがない、手仕事の器。金沢のふたつの伝統が交差する場所から生まれた、光を纏うグラスです。
